非 再生 性 貧血 猫。 [非再生性貧血]再生不良性貧血、赤芽球癆(せきがきゅうろう) : 飼い主が知っておきたい血液・免疫系疾患

【獣医が教える】猫の貧血を引き起こす疾患 −原因から治療法まで−|ねこのきもちWEB MAGAZINE

非 再生 性 貧血 猫

メニュー• <猫の腎不全に使用されるステロイド> 一括りにステロイドと言っても その成分や使用目的、効果に よっていくつかに分類されています。 一般的に病気の治療などで使われる ステロイドと呼ばれるものは、 ほとんどが 副腎皮質ホルモンの 糖質コルチコイドです。 その名の通り、副腎で作られる ホルモンです。 代表的な薬剤が プレドニゾロン などです。 そして、病気の治療というより、 人ではスポーツなどで筋肉増強の 目的で使われるものもステロイドと 呼ばれます。 これは、 蛋白同化ステロイド アナボリックステロイド と言い、 男性ホルモン テストステロン と 同様の 蛋白同化作用を持つ合成 ステロイドです。 *蛋白同化作用・・蛋白が肉体に 同化され、筋肉になる 代表的な薬剤が デカデュラボリン などです。 そして、猫の腎不全の場合、 原因や状態によってこの2種類の ステロイドが使用されることがあります。 <ステロイドが使用される状況> 猫の腎不全でステロイドが使用 されることはあまり多くはないです。 病院によっても変わりますが、 可能性がある状況としては、 *貧血に対する治療 *急性糸球体腎炎、炎症所見の 強い慢性糸球体腎炎 の場合です。 貧血に対しては、 蛋白同化ステロイド。 腎炎に対しては、 副腎皮質ホルモン。 が選択されるのが一般的です。 スポンサー リンク <各ステロイドの作用と効果> 『蛋白同化ステロイド』 猫の慢性腎不全では、深刻な 症状で 貧血があります。 腎性貧血は非再生性貧血で 腎機能低下によって造血ホルモン エリスロポエチン の分泌が低下 するために起こります。 通常、この貧血に対しては エリスロポエチン製剤を注射して 対処していくことがほとんどです。 ただ、蛋白同化ステロイドには、 エリスロポエチンの産生促進や 造血幹細胞を刺激する作用があり、 人の再生不良性貧血などでも使用 されることがあります。 そのため、貧血の治療に デカデュラボリンを使用する 病院もあります。 少ないようですが ただし、猫の腎性貧血においての 蛋白同化ステロイドは効果がない とする意見もあり、獣医師に よっても賛否は分かれるようです。 また、蛋白同化ステロイドには その他、さまざまな作用もあり、 腎不全により著しく消耗した体 にも効果があるとされています。 そのため、 体を楽にする効果も 兼ねて使用する場合もあるようです。 ただし、肝臓へのダメージなど 副作用の心配もあるため、頻度 や量など慎重に投与する必要があります。 『副腎皮質ホルモン』 一般的に幅広く使われる薬剤 ですが、主な作用、効果としては 痒みなど、炎症を抑えるときに 使われることの多い薬です。 そして猫の腎不全はその原因も さまざまで原因が分からないこと も多いのですが、 糸球体腎炎など 何らかの感染症などによって腎臓 が炎症を起こすことで発症する場合もあります。 特に、高齢ではなく若い猫さん での発症の場合には、感染症が 疑われることも多いです。 ただ、実際にその原因を突き止める のは難しいのですが。。 腎不全の原因として、何らかの 感染症が疑われる場合、炎症が 見られる場合などには、その 炎症を 抑えるためにステロイドが使用されることがあります。 その効果については、状態により ますが原因疾患の治療 炎症を 止める ができれば、予後は 期待できると言えます。 また、慢性腎不全の猫さんでは 口内炎 を併発してる場合も多く その痛み止めのためにステロイド が使われる可能性もあります。 ただし、長期の投与、過剰投与 などに注意が必要になります。 <まとめ> 腎不全になるとさまざまな合併症 が出てきて、その状態に応じた 治療、薬剤が必要になります。 ステロイドも使用方法を間違え なければ、効果的で頼りになるお薬です。 少しでも不安がある場合は、 そのときの猫さんの体の状態、腎臓や 他の数値と、お薬を使用したときの 効果や副作用の可能性について、 良く話しを聞いてみてくださいね。

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非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)の猫の1例

非 再生 性 貧血 猫

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、免疫が関与する赤血球の破壊亢進が貧血を引き起こす疾患です。 IMHAを発症した犬や猫の赤血球では、赤血球表面上に免疫グロブリン(IgGやIgM)が同定されます。 補体も赤血球上に存在します。 二次性のIMHAでは、赤血球膜に吸着した抗原や赤血球抗原決定基と結合した微生物抗原に対して抗体が産生されて、赤血球は破壊されてしまいます。 その他、膜の傷害によって隠されていた膜抗原が微生物や毒素によって露出したり、微生物や薬剤の抗原が自己決定基と交差反応することもあります。 あらゆる慢性炎症で、リンパ球が非特異的に活性化することがあって、自己反応性のリンパ球が生じるので、常に注意が必要です。 ワクチンの接種もIMHAの病態に関与しているようです。 ワクチン接種後、2~4週間以内にIMHAの生じることがあります。 原因は明らかではないのですが、ワクチンが原因なのか、素因を持っていたことがワクチンで活性化されてしまったのか、わかりません。 IMHAが、犬種によっては発症率が高くなるので、遺伝的な要因も無視できないと思います。 特に、コッカー・スパニエルは好発犬種です。 IMHAでは、抗体や補体が赤血球に存在するので、最終的には血管内溶血や血管外溶血が生じます。 血管外溶血の方が一般的です。 急性の変化ではありませんが、球状赤血球と高ビリルビン血症(黄疸)が認められます。 肝機能が、低酸素と肝壊死で低下します。 小葉中心性の肝壊死です。 症状 来院する飼い主の主訴として報告される症状は、元気消失、食欲不振、黄疸、粘膜蒼白、嘔吐、虚脱などです。 身体検査をすると、収縮期雑音が聴取されたり、頻脈や頻呼吸、発熱、脾腫や肝腫、腹部痛が認められます。 来院する前に症状の続く期間は、犬でも猫でも比較的短く、4~5日程度です。 診断 IMHAでみられる血液検査での異常所見 上記所見が血液検査で見られたら、尿検査を行って、ヘモグロビン尿や高ビリルビン尿の確認と、赤血球膜に対する抗体の確認(クームス試験)を行います。 IMHAとして最初にみられる所見は、貧血です。 普通は、再生性貧血です。 IMHAによる非再生性貧血の理由は、急激に発症したために骨髄が反応する前の状態であることや、骨髄の前駆細胞に対して生じた抗体が存在する場合です。 後者の場合、網状赤血球が末梢循環に入る前に破壊されてしまいます。 再生性の反応が認められず、血液検査で総蛋白やアルブミン濃度に変化がなく、ヘマトクリット値が急激に低下する場合は、溶血を疑います。 骨髄からの赤血球産生が減少することによって生じる貧血では、ヘマトクリット値の急激な減少はありません。 血液の喪失を伴う貧血では、ヘマトクリット値の低下と共に、総蛋白やアルブミン濃度の低下も同時に示します。 貧血の要因によるCBCの変化 IMHAを発症した犬の多くは、炎症性の白血球像や左方移動を示します。 凝固系の異常を示すこともあり、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長、プロトロンビン時間の延長、D-dimerとフィブリノーゲン分解産物の増加、アンチトロンビンの減少、フィブリノーゲンの増加などがみられます。 血小板減少の理由は、赤血球だけでなく、血小板にも結合する抗体が存在する(エバンス症候群)場合、播種性血管内凝固(DIC)、脾臓への隔離などの要因が考えられます。 血液塗抹で、自己凝集や球状赤血球が認められると、抗体介在性の赤血球の溶解が生じている証拠になります。 血液塗抹標本を顕微鏡下で観察するとわかります。 球状赤血球は、抗体で覆われた赤血球膜が、マクロファージによって部分的に除去されて生じます。 正常な円盤型の形態を失って小さくなって、セントラルペーラー(中央のくぼみ、顕微鏡で観察すると淡い色に見える中央部部)がなくなります。 球状赤血球は、正常な赤血球よりも硬くて、変形能に乏しいので、脾臓を通過する際に除去されてしまいます。 赤血球の傷害が、非免疫介在性であった場合にも少量の球状赤血球を認めますので、鑑別には重要です。 亜鉛中毒、低リン血症、酸化傷害、リケッチア感染、腫瘍などとの鑑別が必要です。 二次性免疫介在性溶血性貧血の原因 基礎疾患が治療や予後に影響を与えますから、IMHAでは、二次性IMHAを引き起こす要因を特定するようにします。 薬剤、ワクチン、毒素への暴露の可能性を問診で確認して、直腸検診、眼科検査、神経学的検査を行って、や腫瘍を疑って調べていきましょう。 再生性貧血・自己凝集・球状赤血球がなくても、貧血を起こす他の要因が除外されて、クームス試験や他の溶血徴候を明らかにして、消去法でIMHAであることが示唆される場合もあります。 慎重に診断していきたいところです。 治療 IMHAの治療はなかなか大変です。 これといった効果的な方法が確立してませんし、予後がよくないこと、治療に費用が掛かってしまうことなど、飼い主にも負担の大きな疾病です。 肺血栓塞栓症や播種性血管内凝固のような重篤な合併症が発生することも比較的多くて、個々の症例の治療効果や予後を見極めることが非常に難しいのが悩みです。 治療の効果をみながら、やっていきますが、治療の原則は、赤血球の溶血を止めること、輸血で組織の低酸素状態を緩和する、血栓塞栓症を予防して、支持療法を行う、ということです。 溶血の治療 免疫抑制剤で、赤血球の溶血を阻害します。 高用量ステロイド投与が、犬の赤血球の溶血を制御するための第1選択です。 初期用量は、高めの用量を使用する方がいいでしょう。 多くは、プレドニゾロンの投与開始後、1週間程度で反応しますが、中には2~4週間、十分な効果がみられないこともあります。 ヘマトクリット値と、ステロイドの副作用をみながら、3~6ヶ月掛けて、服用量を減量していきます。 6ヵ月後に、プレドニゾロンの用量が、隔日投与で低用量に減量しても寛解しているようであれば、投薬を中止します。 投薬量を変更したら、必ず2週間後には、CBCと網状赤血球数を計測しましょう。 変更しなくても、2週間ごとに血液検査をしておく方がいいと思います。 貧血と溶血が改善している場合には、クームス試験も陰性になって、自己凝集がなくなって、球状赤血球もなくなって、網状赤血球が正常値になって、炎症性白血球像がなくなります。 ステロイドの単独治療に効果が見られない、副作用が強く出てしまう、という場合には、補助的な細胞傷害薬を追加します。 どのタイミングで追加するのか、というのは非常に難しいのですが、可能な限り2つ以上の免疫抑制剤を使用することは避けたいです。 しかしながら、補助的な免疫抑制剤の追加を行わなければ、予後不良になってしまうことがあるので、症状をみながら、追加するなら早めに判断していきましょう。 ステロイドを投与して1週間経っても治療に反応して来ない犬や、輸血を行った場合、ステロイドの副作用に耐えられない場合、予後不良因子を持っている犬などに対しては、アザチオプリンを追加投与します。 これでIMHAを制御できたら、アザチオプリンの投与量はそのままで、プレドニゾロンの投与量を減らしていきます。 プレドニゾロンを中止したら、アザチオプリンの投与量をゆっくり減量していきます。 再発が起こったら、プレドニゾロンか、プレドニゾロンとアザチオプリン併用療法を、溶血が起こらない最低用量で生涯続けます。 アザチオプリンを投与するときも、血液検査でCBCと肝酵素は定期的に測定しましょう。 アザチオプリン投与開始時は、2週間に1回、制御できたら、1ヶ月に1回の検査がいいでしょう。 シクロスポリンは、プレドニゾロンやアザチオプリンで効果が認められない犬に対して、用いられる免疫抑制剤です。 シクロスポリンは、免疫抑制作用が強力で、比較的安全で、有効です。 問題は、薬の値段が高いことです。 費用が高すぎて、飼い主が負担できない場合や、嘔吐や消化器疾患で経口吸収できない場合は、シクロフォスファミドを静脈内投与することがあります。 免疫グロブリンは、ここまでの治療がダメだった場合に、行います。 他の免疫抑制剤の効果が発現するまでの「つなぎ治療」にも有効です。 問題点は、治療費が高額になることと、ヒト免疫グロブリン製剤であるため、複数回の使用は控えるべき治療であること、です。 輸血 急性で、重度のIMHAでは、貧血の完全を待つ間、酸素運搬体の供給が必要となります。 酸素の吸入では効果が限られるので、輸血を行うことが多々あります。 貧血の重症度、進行速度、慢性化、肺血栓塞栓症や消化器出血などの併発症の有無で判断します。 ヘマトクリット値で判断するのではなく、症状をみて、実施の可否を判断しましょう。 一般的には、安静時の頻脈、頻呼吸、食欲低下、元気消失、虚脱などが認められたら考慮します。 組織の低酸素は、肝壊死、播種性血管内凝固、血栓塞栓症などの併発症を悪化させます。 アメリカでは、人工血液(オキシグロビン)などがありますが、今は輸入が難しくて、使えないと思います。 血栓塞栓症の予防 IMHAでは、血栓塞栓症がよく併発して、死因の重要な要因です。 血小板減少、高ビリルビン血症、白血球増加、低アルブミン血症などがリスクを高めているようです。 なぜ血栓ができるのか、はよくわかりません。 効果的な予防法も確立していません。 ヘパリンやアスピリンを用いて、予防的に治療していきます。 アスピリンは、低用量で用います。 支持療法 支持療法は、積極的に行いましょう。 輸血に加えて、輸液療法が、組織への循環が改善されます。 脱水状態のある犬には、特に、実施するべき処置です。 脱水している犬では、輸液療法でヘマトクリット値が低下しますが、赤血球の総数を減らすわけではないので、問題ありません。 むしろ、輸液療法によって、貧血の重症度が明らかになります。 IMHAの犬では、基礎疾患の注意深い検査と治療が重要です。 このような二次性のIMHAでも免疫抑制療法は必要となりますが、基礎疾患を同定して治療すると、免疫抑制期間が短くなることもあります。 但し、感染性の疾患が同定された場合は、アザチオプリンやシクロスポリンの投与は控えましょう。 免疫抑制療法での合併症は、骨髄抑制、感染、消化管潰瘍、副腎皮質機能亢進症(医原性)などです。 消化管の出血は、高用量のステロイドによる副作用で起こりやすく、併発する血小板の減少、血管炎、虚血などからも生じます。 また、それが貧血の要因ともなります。 消化管出血に気がつかないと、IMHAの治療が無反応である、と誤解してしまう原因になりますので、注意しましょう。 消化管出血には、スクラルファートやH2ブロッカー(ファモチジンなど)を用います。 予後 原発性IMHAの致死率(犬)は高く、死因には、血栓塞栓症が多いようです。 感染や播種性血管内凝固(DIC)、貧血のコントロール不良も、死因となります。 病態の維持に、複数の免疫抑制剤が必要であったり、自己凝集、ビリルビンの上昇、顕著な血小板減少、重度な白血球増加が持続すると、予後は悪くなります。 IMHAの犬の半数程度は、免疫抑制剤の用量をゆっくりと漸減した後、投薬を完全に中止することができます。 残りは、長期的な免疫抑制剤の投与が必要です。 赤芽球癆 赤芽球癆は、骨髄における赤血球系の重度な低形成や無形成を伴う重篤な非再生性の貧血を特徴とする、稀な疾患です。 他の細胞系統は正常です。 非再生性のIMHAとの相違は、IMHAでは赤血球系の過形成や赤血球形の成熟過程における分化停止が認められるけど、赤芽球癆は赤血球系が無形成、なところです。 原発性と二次性の赤芽球癆があって、二次性の赤芽球癆の原因は、ヒト組み換えエリスロポエチンによる治療やパルボウイルス感染など、です。 赤芽球癆の犬でみられる 症状は、IMHAの犬と同様です。 猫は、犬よりも若齢(3歳齢まで)で発症するようです。 重度で、非再生性の貧血徴候を示しますが、血小板数、白血球分画は正常です。 生化学検査や尿検査でも異常はなく、末梢の溶血所見もみられません。 クームス試験も陰性です。 IMHAと赤芽球癆の比較 診断は、骨髄細胞の穿刺生検で行いますが、 治療については、IMHAと同様です。 多くの犬が、プレドニゾロン単独投与に反応します。 十分な反応を得るためや、ステロイドを副作用のために減量せざるを得ない場合には、アザチオプリンやシクロスポリンの投与が必要なこともあります。 完全寛解の得られる期間は、IMHAよりも長く、2~6ヶ月間です。 時間が掛かるので、治療に反応していないのか、治療に反応していても骨髄が赤血球を産生して循環中に放出するまでに十分な時間が経っていないのか、判断の難しいこともあります。 治療手順を変更するなら、骨髄細胞の再評価を行いましょう。 2ヶ月間の治療で、貧血が改善されなかったら、骨髄吸引を行って再評価します。 治療の効果がみられるまで、輸血を行う必要が出てきます。 赤芽球癆では、炎症所見もなく、血栓塞栓症の恐れもないので、抗凝固剤の投与は不要です。 犬での 予後は、IMHAよりましです。 犬よりも猫の方が、治療の反応性がよく、予後も良好です。

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非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)の猫の1例

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免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、免疫が関与する赤血球の破壊亢進が貧血を引き起こす疾患です。 IMHAを発症した犬や猫の赤血球では、赤血球表面上に免疫グロブリン(IgGやIgM)が同定されます。 補体も赤血球上に存在します。 二次性のIMHAでは、赤血球膜に吸着した抗原や赤血球抗原決定基と結合した微生物抗原に対して抗体が産生されて、赤血球は破壊されてしまいます。 その他、膜の傷害によって隠されていた膜抗原が微生物や毒素によって露出したり、微生物や薬剤の抗原が自己決定基と交差反応することもあります。 あらゆる慢性炎症で、リンパ球が非特異的に活性化することがあって、自己反応性のリンパ球が生じるので、常に注意が必要です。 ワクチンの接種もIMHAの病態に関与しているようです。 ワクチン接種後、2~4週間以内にIMHAの生じることがあります。 原因は明らかではないのですが、ワクチンが原因なのか、素因を持っていたことがワクチンで活性化されてしまったのか、わかりません。 IMHAが、犬種によっては発症率が高くなるので、遺伝的な要因も無視できないと思います。 特に、コッカー・スパニエルは好発犬種です。 IMHAでは、抗体や補体が赤血球に存在するので、最終的には血管内溶血や血管外溶血が生じます。 血管外溶血の方が一般的です。 急性の変化ではありませんが、球状赤血球と高ビリルビン血症(黄疸)が認められます。 肝機能が、低酸素と肝壊死で低下します。 小葉中心性の肝壊死です。 症状 来院する飼い主の主訴として報告される症状は、元気消失、食欲不振、黄疸、粘膜蒼白、嘔吐、虚脱などです。 身体検査をすると、収縮期雑音が聴取されたり、頻脈や頻呼吸、発熱、脾腫や肝腫、腹部痛が認められます。 来院する前に症状の続く期間は、犬でも猫でも比較的短く、4~5日程度です。 診断 IMHAでみられる血液検査での異常所見 上記所見が血液検査で見られたら、尿検査を行って、ヘモグロビン尿や高ビリルビン尿の確認と、赤血球膜に対する抗体の確認(クームス試験)を行います。 IMHAとして最初にみられる所見は、貧血です。 普通は、再生性貧血です。 IMHAによる非再生性貧血の理由は、急激に発症したために骨髄が反応する前の状態であることや、骨髄の前駆細胞に対して生じた抗体が存在する場合です。 後者の場合、網状赤血球が末梢循環に入る前に破壊されてしまいます。 再生性の反応が認められず、血液検査で総蛋白やアルブミン濃度に変化がなく、ヘマトクリット値が急激に低下する場合は、溶血を疑います。 骨髄からの赤血球産生が減少することによって生じる貧血では、ヘマトクリット値の急激な減少はありません。 血液の喪失を伴う貧血では、ヘマトクリット値の低下と共に、総蛋白やアルブミン濃度の低下も同時に示します。 貧血の要因によるCBCの変化 IMHAを発症した犬の多くは、炎症性の白血球像や左方移動を示します。 凝固系の異常を示すこともあり、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長、プロトロンビン時間の延長、D-dimerとフィブリノーゲン分解産物の増加、アンチトロンビンの減少、フィブリノーゲンの増加などがみられます。 血小板減少の理由は、赤血球だけでなく、血小板にも結合する抗体が存在する(エバンス症候群)場合、播種性血管内凝固(DIC)、脾臓への隔離などの要因が考えられます。 血液塗抹で、自己凝集や球状赤血球が認められると、抗体介在性の赤血球の溶解が生じている証拠になります。 血液塗抹標本を顕微鏡下で観察するとわかります。 球状赤血球は、抗体で覆われた赤血球膜が、マクロファージによって部分的に除去されて生じます。 正常な円盤型の形態を失って小さくなって、セントラルペーラー(中央のくぼみ、顕微鏡で観察すると淡い色に見える中央部部)がなくなります。 球状赤血球は、正常な赤血球よりも硬くて、変形能に乏しいので、脾臓を通過する際に除去されてしまいます。 赤血球の傷害が、非免疫介在性であった場合にも少量の球状赤血球を認めますので、鑑別には重要です。 亜鉛中毒、低リン血症、酸化傷害、リケッチア感染、腫瘍などとの鑑別が必要です。 二次性免疫介在性溶血性貧血の原因 基礎疾患が治療や予後に影響を与えますから、IMHAでは、二次性IMHAを引き起こす要因を特定するようにします。 薬剤、ワクチン、毒素への暴露の可能性を問診で確認して、直腸検診、眼科検査、神経学的検査を行って、や腫瘍を疑って調べていきましょう。 再生性貧血・自己凝集・球状赤血球がなくても、貧血を起こす他の要因が除外されて、クームス試験や他の溶血徴候を明らかにして、消去法でIMHAであることが示唆される場合もあります。 慎重に診断していきたいところです。 治療 IMHAの治療はなかなか大変です。 これといった効果的な方法が確立してませんし、予後がよくないこと、治療に費用が掛かってしまうことなど、飼い主にも負担の大きな疾病です。 肺血栓塞栓症や播種性血管内凝固のような重篤な合併症が発生することも比較的多くて、個々の症例の治療効果や予後を見極めることが非常に難しいのが悩みです。 治療の効果をみながら、やっていきますが、治療の原則は、赤血球の溶血を止めること、輸血で組織の低酸素状態を緩和する、血栓塞栓症を予防して、支持療法を行う、ということです。 溶血の治療 免疫抑制剤で、赤血球の溶血を阻害します。 高用量ステロイド投与が、犬の赤血球の溶血を制御するための第1選択です。 初期用量は、高めの用量を使用する方がいいでしょう。 多くは、プレドニゾロンの投与開始後、1週間程度で反応しますが、中には2~4週間、十分な効果がみられないこともあります。 ヘマトクリット値と、ステロイドの副作用をみながら、3~6ヶ月掛けて、服用量を減量していきます。 6ヵ月後に、プレドニゾロンの用量が、隔日投与で低用量に減量しても寛解しているようであれば、投薬を中止します。 投薬量を変更したら、必ず2週間後には、CBCと網状赤血球数を計測しましょう。 変更しなくても、2週間ごとに血液検査をしておく方がいいと思います。 貧血と溶血が改善している場合には、クームス試験も陰性になって、自己凝集がなくなって、球状赤血球もなくなって、網状赤血球が正常値になって、炎症性白血球像がなくなります。 ステロイドの単独治療に効果が見られない、副作用が強く出てしまう、という場合には、補助的な細胞傷害薬を追加します。 どのタイミングで追加するのか、というのは非常に難しいのですが、可能な限り2つ以上の免疫抑制剤を使用することは避けたいです。 しかしながら、補助的な免疫抑制剤の追加を行わなければ、予後不良になってしまうことがあるので、症状をみながら、追加するなら早めに判断していきましょう。 ステロイドを投与して1週間経っても治療に反応して来ない犬や、輸血を行った場合、ステロイドの副作用に耐えられない場合、予後不良因子を持っている犬などに対しては、アザチオプリンを追加投与します。 これでIMHAを制御できたら、アザチオプリンの投与量はそのままで、プレドニゾロンの投与量を減らしていきます。 プレドニゾロンを中止したら、アザチオプリンの投与量をゆっくり減量していきます。 再発が起こったら、プレドニゾロンか、プレドニゾロンとアザチオプリン併用療法を、溶血が起こらない最低用量で生涯続けます。 アザチオプリンを投与するときも、血液検査でCBCと肝酵素は定期的に測定しましょう。 アザチオプリン投与開始時は、2週間に1回、制御できたら、1ヶ月に1回の検査がいいでしょう。 シクロスポリンは、プレドニゾロンやアザチオプリンで効果が認められない犬に対して、用いられる免疫抑制剤です。 シクロスポリンは、免疫抑制作用が強力で、比較的安全で、有効です。 問題は、薬の値段が高いことです。 費用が高すぎて、飼い主が負担できない場合や、嘔吐や消化器疾患で経口吸収できない場合は、シクロフォスファミドを静脈内投与することがあります。 免疫グロブリンは、ここまでの治療がダメだった場合に、行います。 他の免疫抑制剤の効果が発現するまでの「つなぎ治療」にも有効です。 問題点は、治療費が高額になることと、ヒト免疫グロブリン製剤であるため、複数回の使用は控えるべき治療であること、です。 輸血 急性で、重度のIMHAでは、貧血の完全を待つ間、酸素運搬体の供給が必要となります。 酸素の吸入では効果が限られるので、輸血を行うことが多々あります。 貧血の重症度、進行速度、慢性化、肺血栓塞栓症や消化器出血などの併発症の有無で判断します。 ヘマトクリット値で判断するのではなく、症状をみて、実施の可否を判断しましょう。 一般的には、安静時の頻脈、頻呼吸、食欲低下、元気消失、虚脱などが認められたら考慮します。 組織の低酸素は、肝壊死、播種性血管内凝固、血栓塞栓症などの併発症を悪化させます。 アメリカでは、人工血液(オキシグロビン)などがありますが、今は輸入が難しくて、使えないと思います。 血栓塞栓症の予防 IMHAでは、血栓塞栓症がよく併発して、死因の重要な要因です。 血小板減少、高ビリルビン血症、白血球増加、低アルブミン血症などがリスクを高めているようです。 なぜ血栓ができるのか、はよくわかりません。 効果的な予防法も確立していません。 ヘパリンやアスピリンを用いて、予防的に治療していきます。 アスピリンは、低用量で用います。 支持療法 支持療法は、積極的に行いましょう。 輸血に加えて、輸液療法が、組織への循環が改善されます。 脱水状態のある犬には、特に、実施するべき処置です。 脱水している犬では、輸液療法でヘマトクリット値が低下しますが、赤血球の総数を減らすわけではないので、問題ありません。 むしろ、輸液療法によって、貧血の重症度が明らかになります。 IMHAの犬では、基礎疾患の注意深い検査と治療が重要です。 このような二次性のIMHAでも免疫抑制療法は必要となりますが、基礎疾患を同定して治療すると、免疫抑制期間が短くなることもあります。 但し、感染性の疾患が同定された場合は、アザチオプリンやシクロスポリンの投与は控えましょう。 免疫抑制療法での合併症は、骨髄抑制、感染、消化管潰瘍、副腎皮質機能亢進症(医原性)などです。 消化管の出血は、高用量のステロイドによる副作用で起こりやすく、併発する血小板の減少、血管炎、虚血などからも生じます。 また、それが貧血の要因ともなります。 消化管出血に気がつかないと、IMHAの治療が無反応である、と誤解してしまう原因になりますので、注意しましょう。 消化管出血には、スクラルファートやH2ブロッカー(ファモチジンなど)を用います。 予後 原発性IMHAの致死率(犬)は高く、死因には、血栓塞栓症が多いようです。 感染や播種性血管内凝固(DIC)、貧血のコントロール不良も、死因となります。 病態の維持に、複数の免疫抑制剤が必要であったり、自己凝集、ビリルビンの上昇、顕著な血小板減少、重度な白血球増加が持続すると、予後は悪くなります。 IMHAの犬の半数程度は、免疫抑制剤の用量をゆっくりと漸減した後、投薬を完全に中止することができます。 残りは、長期的な免疫抑制剤の投与が必要です。 赤芽球癆 赤芽球癆は、骨髄における赤血球系の重度な低形成や無形成を伴う重篤な非再生性の貧血を特徴とする、稀な疾患です。 他の細胞系統は正常です。 非再生性のIMHAとの相違は、IMHAでは赤血球系の過形成や赤血球形の成熟過程における分化停止が認められるけど、赤芽球癆は赤血球系が無形成、なところです。 原発性と二次性の赤芽球癆があって、二次性の赤芽球癆の原因は、ヒト組み換えエリスロポエチンによる治療やパルボウイルス感染など、です。 赤芽球癆の犬でみられる 症状は、IMHAの犬と同様です。 猫は、犬よりも若齢(3歳齢まで)で発症するようです。 重度で、非再生性の貧血徴候を示しますが、血小板数、白血球分画は正常です。 生化学検査や尿検査でも異常はなく、末梢の溶血所見もみられません。 クームス試験も陰性です。 IMHAと赤芽球癆の比較 診断は、骨髄細胞の穿刺生検で行いますが、 治療については、IMHAと同様です。 多くの犬が、プレドニゾロン単独投与に反応します。 十分な反応を得るためや、ステロイドを副作用のために減量せざるを得ない場合には、アザチオプリンやシクロスポリンの投与が必要なこともあります。 完全寛解の得られる期間は、IMHAよりも長く、2~6ヶ月間です。 時間が掛かるので、治療に反応していないのか、治療に反応していても骨髄が赤血球を産生して循環中に放出するまでに十分な時間が経っていないのか、判断の難しいこともあります。 治療手順を変更するなら、骨髄細胞の再評価を行いましょう。 2ヶ月間の治療で、貧血が改善されなかったら、骨髄吸引を行って再評価します。 治療の効果がみられるまで、輸血を行う必要が出てきます。 赤芽球癆では、炎症所見もなく、血栓塞栓症の恐れもないので、抗凝固剤の投与は不要です。 犬での 予後は、IMHAよりましです。 犬よりも猫の方が、治療の反応性がよく、予後も良好です。

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