うる は ルシア 前世。 岸若まみずのブックマーク一覧

潤羽るしあの中の人(魂)やキャラデザを担当した人は誰?ホロライブ3期生に注目!

うる は ルシア 前世

この記事に書いてあること• ホロライブ潤羽るしあの前世 中の人 はみけにゃん! サムネ作ろうとして自撮りしてたらるしあすごい顔になってしまった😱 — 潤羽るしあ🦋 ホロライブ3期生 uruharushia いま、のりに乗っているホロライブ3期生。 前世がかなり可愛かったり、人気配信者だったりして注目を集めているんだけど、そのメンバーの一人が潤羽るしあなんだ。 人気になっているのも納得できるくらい、かなり昔から配信活動をしている潤羽るしあの前世 中の人 が「みけにゃん みけ猫@泥 」なんだ!しかも、顔出しで活動していたこともあってかなり可愛いと人気になっていたんだ。 っていうことになっているんだ。 ・・・。 ・・・ こんな美人なのにそんなわけないやろおぉぉぉ!!!! ・・・危ない危ない(笑)自分を見失いかけたよ(笑)まぁ間違いなく喪女っていうのは嘘だと思うね。 前世からファンの人に配慮して喪女ってことにしているんだろうね。 まぁその方が、出会い厨の配信者もはねつけることもできるから自己防衛のためにしているのかもね。 噓か本当か、YouTuberのマホトと交際していたって噂もでていたから完全に0ってこともないけど喪女っていうのは無理があると思うね(笑).

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コメント/天宮紫水

うる は ルシア 前世

サフィール。 小枝のような少女の身体を抱き締め、緋色の髪の外道は最愛の人との再会を心から喜んだ。 転生者たちの前に現われた、前世の記憶を封じ込めた石たち。 百の数の封印石を集め、贄となる者を夜ノ人に捧げることで、遥かなるヴァシュラード……前世への扉が開かれるのだという。 誰かを犠牲にしてまでも、前世の自分に戻りたいの? 現世の自分は、そんなにイヤ? ……キライ? 違う。 ううん、そうじゃなくて……。 変えたい。 変わりたい。 何を? 自分。 前世を欲する者たちのさまざまな想いが交差し、雑じり合う。 自分が封印石を差し出せば、現世と前世とを繋ぐ扉は開くのだろうか。 そう考えると、手の中に握り締めた小さな石がやけに重く感じられる。 正直、ほんの少しだけ怖くもあった。 だが、いつまでもぐずぐず悩んでいる暇はない。 一刻も早く、急がなくては。 scene. 1 決意、とまどい ひと気のない厨房を抜け、二ノ宮花梨(にのみや・かりん)は『クローバー・ティールーム』の店内へと踏み入った。 窓辺に放置された鉢植えのハーブが、元気なく項垂れているのが目に止まる。 「かわいそうに……。 大方、こんなことにでもなってるんじゃないかと思ったのよね」 厨房まで取って返し、コップに汲んだ水を鉢に注ぐ。 乾いた土があっという間に水を吸い込んでいくのを見て、花梨はホッとしたように笑いかけた。 「これからも、時々こうしてお世話してあげられるといいんだけど……ごめんね。 あたしも当分……ううん。 もしかしたら、二度とここには来れないかもしれない」 空になったコップを置き、右手を胸の中心に触れさせる。 そこには銀の飾り枠に嵌め込み、ペンダントトップに仕立てた記憶の石のひとつが輝いていた。 グレイスが真白(ましろ)にだけは本当に心を許していたという記憶を閉じ込めた、虹色の封印石。 「あたし、決めたの。 前世のあたし……グレイスに戻るって」 花梨の前世であるグレイスは、類い稀な美貌と才能、それに見合う地位までをも持ち合わせた完璧な女性だった。 封印石を捧げれば、あの緋色の髪の外道は前世の世界を取り戻せると言っていた。 光輝く美姫、麗しのグレイスに戻れると。 「グレイス……」 突然、背後からその名を呼ばれて瞬く。 「響……さん?」 決して、聞き間違えるはずはない。 「この様子では、ルシアはまだ戻って来ていないようですね」 ひっそりと静まり返った店内を一瞥し、響は花梨の傍まで歩み寄った。 「響さんは、どうしてここに?」 「ルシアとはそれぞれ寄り合い所を任された者同士という以前に、子供の頃に近所に住んでいた幼馴染みでしてね。 昔は、実の妹のように可愛がっていたものです」 出来ることなら自分の足でルシアを捜し出し、無事な姿で連れ戻したい。 だが外道討伐が逢魔ヶ人の最優先事項である以上、寄り合い所の責任者という立場がそれを許さなかった。 仕事の合間に時々こうして様子を見に来ることくらいしか出来ないのだと、響は少し寂しげに笑った。 「ところで、グレイス……いえ、花梨さん。 あなたも、あのデロシェと同じように前世の扉を開くことを望んでいらっしゃるのですか」 花梨の胸の封印石が揺れる。 花梨は、無意識にそれを強く握り締めた。 「あたし、もっと深く前世を知りたい。 グレイスのことを思い出したいんです」 グレイスの記憶を取り戻し、もう一度彼女の人生を生きることが出来たら、どんなに素晴らしいだろう。 本当は何をしたいのか、何になりたいのかも分からず、恋人の一人も見つけられないでいる臆病な自分。 不安や涙を笑顔の下に隠し、明るく振舞うのにも疲れてしまった。 虚ろに溜息をつき、両手で顔を覆った花梨は知らない。 グレイスが殺女(あやめ)という名の術者にかけられた術が、現世の自分から異性を遠ざけていることを。 「最近ずっと気持ちが乱れてるせいか、ピアノだってちっとも上手く弾けないし。 こんなつまらないあたしなんかより、グレイスの方がずっとずっと……」 「そう、でしょうか?私から見れば、現世のあなたも十分に魅力的でチャーミングな女性ですよ」 それは仕事を通じて親しく付き合ううちに響が得た、花梨に対する率直な感想だった。 「それにね、花梨さん。 本当に臆病で意気地がないのは、私の方なのかもしれません。 私は、未だに自分の前世を知るのが恐ろしい……。 いつだったかあなたに打ち明けたように、記憶をひとつ思い出すたびに少しずつ自分が自分でなくなっていくようで、恐ろしくてたまらないのです」 聡明なグレイスを親友と頼り、美しい歌声をヴァシュラード王に愛された真白。 こんなにも前世を恐れるのは、自分が前世で不幸な人生を送ったからなのかもしれない。 響は、その原因となる記憶を知るのさえためらわれる気がした。 「響さん? 今、なんて……」 「あ、いえ……すみません。 今のは、全部忘れて下さい」 思わず逸らした白い顔に、パッと朱が散る。 己が発した言葉に一番驚いているのは、他でもない響自身であった。 「少し、外の風に当たってきます」 きごちなくそう言って、花梨に背を向ける。 これ以上花梨といたらとんでもないことまで口走ってしまいそうな気がして、響は一刻も早くこの場から立ち去ってしまいたかった。 scene. 「あれ……は……」 いつからそこにあったのだろう。 壁に飾られた大きな肖像画を見つけ、昏闇(くら・やみ)は無感動にそれを眺めた。 豊かな黒髪を派手に結い上げ、額には瞳と同じすみれ色の額飾り。 緋色のドレスに見を包んだ貴婦人が、闇を見下ろして艶然と微笑みかけてくる。 (俺は、あの女……ルージュと敵対していた……) 遥か昔、闇が夜ノ人として生きた頃の記憶。 なぜ自分が同族のルージュと敵対していたのかまでは、思い出せない。 だが、その儚い記憶が闇に警告する。 ルージュを現世に甦らせてはならない。 「小日向さん」 特に何をするでもなく、ただぼんやりと窓辺に佇んでいた小日向真乃(こひなた・まの)に、蓮ノ宮舞人(はすのみや・まいと)が声を掛ける。 前世への憧れは日に日に強くなっているものの、儀式のために贄を捧げなくてはならないことへの嫌悪や、今度前世の世界へ行ってしまったら二度と現世に戻って来れないのではないかという不安も同様に膨らんでいるのだろう。 ここに来てから、真乃は一度も笑ったことがなかった。 」 舞人と目が合った瞬間、真乃を屋敷に連れ去ろうとした際に見せた舞人の酷薄そうな笑みが脳裏に過ぎる。 真乃は怯えたように身を竦め、舞人に対する警戒心を顕わにした。 「困ったな。 僕、すっかり小日向さんに嫌われてしまったみたいだ」 真乃を喜ばせるために用意したショコラタルトを渡すタイミングを失い、苦笑する。 「あ……」 小日向さん。 確かに、舞人は真乃をそう呼んだ。 以前と変わらぬ、優しい声で。 (あのとき、舞人さんは私を「真乃ちゃん」って呼んだ。 でも、今日の舞人さんは違う。 前と同じように、私のこと「小日向さん」って……) それに気づいた瞬間、真乃は全身の緊張がすっと解けるのを感じた。 「無理もないよね。 僕は、常闇人……逢魔ヶ人の君たちとは違う。 ひどいことも、たくさんしてきた」 闇に染まった自分が救われる道は、もはやどこにもないのかもしれない。 舞人の口許に、自嘲めいた笑みが浮かぶ。 「そういえば小日向さん、覚えてる? 前世で僕……ラインバッハが、必死に身を挺してサフィールとロランをデロシェから逃がそうとしたこと」 ラインバッハは密かにグレイスに想い焦がれていたのだが、自らの出自が卑しいのを恥じ、最後まで想いを告げることが出来なかった。 それゆえ、自分と同じ境遇に悩むロランの恋を応援しようと決めたのだ。 たとえそれが、前世でも主人であったデロシェの怒りを買うことになったとしても。 「結局、ラインバッハの努力は何ひとつ実らなかったらしいんだけどね。 でも、だからこそ、現世の小日向さんには幸せになってもらいたいんだ」 不幸な悲しい恋をしたサフィール、そして……出来ることなら、ラインバッハの分までも。 「柏木くんやみんなを信じよう。 きっと、彼らが君を救ってくれる。 もちろん、僕だって……」 僕が僕でいられる間は……せめてその間だけでも、僕に小日向さんを守らせて欲しい。 自分自身に強く言い聞かせ、己が身に巣食う魔を牽制するかのように。 舞人は、誓いの言葉を繰り返した。 おまえ、どこに行こうってんだよ?」 一人先に立って前を往く黒木摩那(くろき・まな)の背を、柏木拓生(かしわぎ・たくみ)が早足で追いかける。 「なぁおい、待てったら……」 おかしい。 デロシェの屋敷に行き、朧藍(ろうらん)を捉まえて常闇人についての話を聞こうと誘われたときから、なんとなく摩那の様子がおかしかった。 (どことなくよそよそしくなったというか、微妙に俺を避けてるっていうか……) それは屋敷に着いてからも変わらず、むすっと押し黙ったまま、ろくに口をきこうともしない。 目的の朧藍を捜すでもなく、屋敷のエントランスを抜けて中庭に出たところで初めて立ち止まる。 摩那は、おもむろに拓生を振り返った。 「ねぇ、柏木くん。 あなた、日ノ人と常闇人の見分け方って知ってる?」 「なっ、なんだよ。 いきなり、藪から棒に……」 「いいから、早く私の問いに答えて頂戴」 有無を言わせぬ強い調子。 見えない迫力に圧倒され、拓生は僅かにひるんだ。 「あ、ああ。 えーっと、だな」 曖昧に頷いてはみたものの、どんなに頭をひねっても答えらしい答えはまったく浮かんでこなかった。 当然である。 双方を明確に見分ける方法など、現時点では何ひとつ確立されていないのだから。 「仕方ないわね」 適当に誤魔化してお茶を濁す術も持たず、ただまごつくだけの拓生に侮蔑の表情を向ける。 「いいわ、質問を変えましょう。 そうね……もし、私が常闇人になったらどうする? 悪い人間だからと、殺してしまうのかしら」 何をバカなこと言ってやがる。 冗談にも言っていいことと悪いことがあると反論しようとした拓生の口を、摩那は自らの唇で塞いだ。 「そういえば柏木くん、言ってたわよね。 静流を、日ノ人に戻せる方法が必ずどこかにあるはずだって。 だったら、安心だわ。 もし私が常闇人になっても、きっと柏木くんが助けてくれるもの」 ね、そうでしょう? ねっとりとした摩那の声と視線とが拓生を絡め取り、身動きひとつさせなくする。 「あ、ああ」 「……嘘つき」 耳元で摩那が囁いたのと同時に、拓生は右肩に鋭い痛みを感じた。 そこだけが、妬けつくように熱い。 突き立てられた刃の周りから染み出した血が、みるみるシャツを染め上げてゆく。 「常闇人は、何をどうあがいても日ノ人には戻れない。 命尽きるその瞬間まで、主たる外道と運命を共にするほかないのよ」 柏木くんなんかよりずっと……誰よりも、私が一番よく知っている。 それはなぜかと問いたげな拓生から、ナイフを引き抜く。 「だって私、デロシェ様の常闇人なんだもの」 すべてが、摩那の計画通りであった。 前世の記憶に引きずられ、現世でも自分に好意を抱くようになった哀れな少年を陥れるために仕組まれた、巧妙な罠。 「さようなら。 所詮、私たちは互いに相容れない存在なのよ。 「最後にひとつだけ忠告しておいてあげるけど、あなたの周りには他にもまだ常闇人がいるみたいフフ……どうか、くれぐれもお気をつけあそばせ」 摩那と拓生の間に、小さな風の渦が巻き起こる。 風が吹き抜けた後、摩那の姿はどこにもなかった。 scene. 3 ゆるぎないもの 駅前の喧騒から離れた、静かな住宅地。 歩道の街路樹の陰で、祖父と孫ほども年の違う男たちが深刻そうな顔を付き合わせる。 失踪中のルシアを心配する二人は、目的を同じくする者として、共にルシアの行方を追っていた。 「ふむ。 今度はここから西、と出たか」 「西ってことは、あっち……だよな?」 ゲオルグの持つ遁甲盤を覗き込んだ克真が、高台へと続く緩やかな坂道を指し示す。 傾斜のせいでここからだと目視出来ないその先には、彼ら……特にゲオルグとは因縁浅からぬ仲の外道、デロシェ・アザールの自宅兼占いサロンがあった。 ルシアの足取りを掴むための捜査は、思いがけず困難を極めた。 「駅ビルの中をうろうろしたかと思えば、ふらりとホワイトチャペルへ。 音楽堂、三倉学園前商店街と来て、三倉港にまで足を伸ばした後は、境町の鈴の音神社だもんなぁ。 メチャクチャというか、行き当たりばったりというか……ったく。 順番に後を追っかけて回るだけでもひと苦労だぜ」 逢魔ヶ人同士のネットワークを最大限に活用し、彼らはもとより一般人の目撃情報も頼りに捜索を続けたものの、どれだけ捜してもルシアの確たる居所を掴むことは出来なかった。 「同じ南が丘にある『クローバー・ティールーム』からデロシェの屋敷までは歩いて10分もかからない距離だってのに、これじゃまるでデロシェのとこに行くのがイヤで、わざと避けてるみたいじゃねぇか」 実際、ルシアは迷い苦しみ続けていたのかもしれなかった。 「ルシアは、さぞかしわしを恨んでおることじゃろうな」 ゲオルグが、ふと洩らした呟き。 両手に、シルビアを貫いたときの感触が甦ってくる。 「俺だって……」 苦悩の表情のゲオルグから目を背け、克真は唇を噛んだ。 「正直、俺だってまだ、シルビアを殺したあんたのやり方に納得した訳じゃないさ。 けどな……シルビアが何を考えてたのかは今となっちゃよく分かんねぇけど、とにかくデロシェから解放されることを望んでいたのだけは事実だ。 正真正銘、あいつの覚悟は本物だった」 「わしとて、この手でシルビアを殺めたことには一片の悔いもない」 外道の支配から逃れ、魂の自由を求めて道を切り拓こうとしたシルビア。 結果的にゲオルグには辛い役目を課せてしまったと詫び、最期に彼女は静かに笑っていた。 「ルシアにも、己が手で己が未来を掴んで欲しいのじゃよ。 何が正しいのか答えを得たければ、この老いぼれも知恵を貸そう。 共に悩み、共に笑い合える仲間は大勢いる。 それをもう一度、あの娘に思い出させてやりたいのじゃ……」 「本当のことが分からないからって、誰かに教えてもらって「はい、おしまい」じゃ、情けねぇからな。 そんな与えられた答えなんかで、簡単に納得してもらっちゃ困る」」 最近になって克真は、前世のアルベルトに心から互いに愛し合っていた女性がいたことを知った。 彼女の名は、モニカ・クレイス。 宝飾品を作る職人の娘で、よく笑う気立てのいい娘だった。 (俺の記憶は、他の誰に与えられたものでもない。 この俺自身が思い出した、唯一無二の大切な記憶だ) それは、ちょっとだけ誇ってもいいのではないかと克真は思う。 とにかく、いつまでもこんなところでぐずぐずしてはいられない。 ゲオルグに目配せし、克真は高台に向けて足を急がせた。 徐々にこちらに近づきつつある、人の気配。 デロシェの屋敷のそばの茂みに身を潜め、油断なく辺りを伺っていた由比賢浄(ゆい・けんじょう)のこめかみに緊張が走る。 夢遊病者のような足取りで坂を登ってくる金髪の女性は、賢浄の待ち人、ルシア・タイターニアに違いなかった。 「……待て」 音もなくするりと躍り出るなり、賢浄はルシアの前に立ちはだかった。 「シルビアの死の瞬間、俺は指ひとつ動かすことも出来なかった。 戦に敗れ、いつ終わるとも知れぬ放浪の末にヴァシュラードに流れ着いた俺は、そこを安住の地と定めた。 愛する女性と巡り会い、ようやく掴んだ平穏な日々……だが、その幸せも長くは続かなかった」 恋人だったタイターニア家の姫を、デロシェに奪われたのだ。 最愛の女性が儀式の生贄にされるのを呆然と見守ることしか出来ないでいた賢浄は、突然ハッと我に返る。 次の瞬間、発作的にデロシェの背を斬りつけていた。 最後にデロシェの命が捧げられたことで儀式は完成し、奴だけが外道として甦った。 ……まったく、間抜けなものだな。 知らぬこととはいえ、結果的に外道を生む手伝いをしてしまったのだから」 すっかり昔語りが長くなってしまったと、自嘲気味に笑う。 賢浄は改めてルシアに向き直り、真っ直ぐ正面からルシアの瞳を見据えた。 「ともあれ、運命の奔流とは無情なものだ。 愛する者を奪い去り、夢や希望は裏切られる。 辛い現実から逃れるために心を捨て、誰かの言いなりになれば確かに楽だろう。 だがな、それは同時に未来に待っているであろう幸福をも捨てることになるのだ。 この数百年の間、俺はそうした連中を数え切れぬほど見てきた」 貴様にも、人並みの幸せを得る権利はある。 貴様の命は、そのために連綿と受け継がれてきた二つとない宝なのだから。 「……ごめんなさい」 賢浄を映すルシアの瞳は昏く澱み、虚ろなガラス玉を想わせる。 だが、小さな唇がそう呟くのを聞いて賢浄は確信した。 ルシアは、デロシェに操られてなどいない。 しっかりと正気を宿し、自らの意思であの男に運命を委ねようとしている。 それを感じ取りながらもなお、賢浄はルシアを呼び止めようとせずにはいられなかった。 「待て。 行ってはならんと……」 伸ばした賢浄の手が、乱暴に振り払われる。 驚いて立ち尽くす賢浄を振り返ろうともせず、ルシアは門を目指して歩き出した。 「おやおや。 旦那、すっかりフラれちまいましたねェ」 そろそろ季節外れになりつつある重い赤コートを着込んだ不忌冥(ふき・おろか)が、どこからともなくふらりと現われる。 冥は素早く術を唱え、ユニコーンを召喚した。 「言葉でダメなら腕力で、ってな。 我ながらちょっち強引な気もすっけど、うち(寄り合い所)の大事なオカシラを生贄なんぞにされちゃ困るんでね。 明るく元気にゴーダッツ! させてもらうぜ……んぁ!? 」 意気揚揚とルシア強奪を実行すべく踏み出した一歩目で、いきなり後ろにつんのめる。 2メートル近くもある大男の冥を引っ張って足止めさせるとは、大した馬鹿力である。 さぞかし腕っぷしの立つ強者かと思いきや、冥のコートをむんずと掴んで立っていたのは大酒呑みの万年酔っ払い少女、深森九献(みもり・くこん)であった。 「にゃはは。 「あなた、ホントは夜ノ人なんでしょぉ? ムダに男前な赤コート野郎ちゃんのくせに、やってくれるじゃないのぉ〜。 やぁ、憎いねぇ……このぉっ、このこのこのぉ〜」 コートから手を離し、意味もなく冥の腿の辺りを小突き回す。 「実はあたしもさぁ、最近になって夜ノ人と関係ある記憶を思い出したりなんかしちゃったのよねぇ」 九献の前世であるレオノラの家には、封印された一冊の古い魔導書があった。 魔導書には夜ノ人に関する記述がなされていると代々言い伝えられていたが、その内容の重大さからか封印は容易には解けない仕組みになっていた。 「レオノラは何がなんでもその魔導書が読みたかったらしくて、知り合いのユエ……そう、確かユエ・ファウストとかいう人に魔導書の開放を頼んだみたいなんだけどね。 肝心の本の内容は、あたしもまだ全然思い出せてなかったりするんだな〜……ひっく」 ならばいっそのこと夜ノ人その者であるという冥と接触し、直接話を聞いてみてはどうだろう。 そう思い立った九献は、善は急げとばかりにすぐさま計画を行動に移したのだった。 「あー……でも、あたしたちの前世みたいに昔のコトはあんまし覚えてないんだっけ?」 「う〜ん。 いやまァ、そんなカンジ……らしいんだけどねェ」 自分が夜ノ人なら、外道の弱点について何か分かるかもしれない。 最初こそ「こいつはラッキー」と喜んだものの、いつまで経ってもどうにもこうにも実感がなくていけねェやと冥は頭を掻いた。 「念のために、いちおー言っとくけどね。 こう見えてあたし、あなたの記憶が自然に戻るのを呑気に待ってられるほど気は長くなかったりするの」 手っ取り早く記憶を回復させるには、冥を無意識のトランス状態にし、心の奥に沈んだ深層意識をサルベージするのが一番。 それにはしこたま酒を飲ませて表層意識をブッ飛ばさせる必要があると、九献は有無を言わせず冥の口に一升瓶を突っ込んだ。 蒼白かった冥の顔が赤くなり青くなり、中身をすべて飲み干す頃には、綺麗な淡い桜色に変わっていた。 「ぷはーっ」 空の瓶を口から離し、やれやれ酷い目に遭ったと首を振る。 傍から見る限り、冥が酒に酔った気配はほとんど感じられなかった。 ひょろっと縦に長いだけかと思いきや、この不忌冥という男、存外アルコールにはめっぽう強いらしい。 さすが夜ノ人、それとも北欧人の血筋がなせる業なのか。 「……ちっ」 一升酒を飲み干してもなおケロリとしている冥を見て、九献が舌打ちしたような気がするのは気のせい……だろう。 「しょうがないにゃぁ。 」 両手でフライパンを握り直した九献が、冥の後頭部めがけて跳びかかる。 またしても視界いっぱいに星が散り、真っ赤なコートのインチキ宣教師は、顔面からドッと倒れ込んだ。 数分後。 鈍く痛む頭をさすりながら起き上がろうとして、冥は唐突に思い出す。 「俺……前にも一度、誰かに倒されたことがあったような……?」 他に何か外道について思い出さないかと九献に問われると、拾い上げた黒眼鏡の泥を払いながら低く頷いた。 「……ああ。 そっちもひとつ、思い出したぜ」 冥が思い出した外道に関する記憶、それは『外道には共通した弱点はない』というものだった。 「そもそも外道ってのはみんなそれぞれ成り立ちやタイプが違うんだから、当然っちゃ当然なんだけどなっ」 とはいえ、これでまた外道の弱点探しがふりだしに戻ってしまった感は否めない。 もっとデロシェと接触するなり、密着してつぶさに観察するなりしなくては駄目なのかと嘆息した冥は、そこで初めてルシアがいなくなってしまったことに気づく。 「あの娘……ルシアなら、中だ」 冥の目覚めを待っていたのだろう。 塀に背を預けて煙草をふかしていた賢浄が、くいと顎で門を指し示す。 さしのべた手をきっぱりと拒絶され、賢浄はこれ以上の説得は無駄であるのを悟った。 こうなったら彼女が選んだ運命の結末を見届けるまでだと、冥たちを促す。 そこにルシアの後を追ってきたゲオルグや克真も合流し、揃って門の向こう側を目指した。 scene. 「如何にも」 にっこりと頷き、デロシェはルシアに向かって右手を差し出した。 「ようこそ、ルシア。 シルビアの血を継ぐ君が、私の招きに応じてくれてうれしいよ」 ルシアの細い手首を掴み、甲に口づける。 されるがまま何の感動も嫌悪も表さず、ルシアはもう一度乾いた唇を開いた。 「約束通り、私に何が正しいことなのかを教えてくれるというのであれば、私はあなたのためにどんなことでもするつもりよ。 だから……」 「ああ、勿論だとも」 それ以上、何も言う必要はない。 優しくデロシェに抱きすくめられたルシアの顔に、初めて安堵の表情が浮かぶ。 これでいい……。 心を偽り、自分を偽り、すべてを彼に委ねると決めたのだから。 うっとりとデロシェを見つめるルシアには、誰がどんなに言葉を尽くしても決して届くことはなかった。 「儀式の準備が終わるまで、久しぶりに僕とゲームでもしませんか?」 「ゲーム?」 問い返したデロシェの瞳に好奇の色が宿るのを、有坂幸助(ありさか・こうすけ)は見逃さなかった。 「前世であなたとイリアは頻繁に議論を交わし、さまざまな形の知略ゲームを楽しんでいたそうですね。 私も護衛役としてイリア……ルメリアの供をして、当時のあなたのお屋敷にも幾度となく伺ったものです」 そうして互いの屋敷を行き来するほどイリアとデロシェは良好な関係だったはずなのに、一体何があったというのだろう。 激しい鍔迫り合いの末、ファングの剣が弾き飛ばされる。 傍らに横たわる、ルメリアの白い頬。 閉じられた瞳。 物言わぬ唇。 「契約により、私は永遠を得た」 ファングにそう告げた声の主は……デロシェ、か? 視界が不安定に歪み始める。 それが、最近幸助が思い出した前世の記憶のすべてだった。 「ルメリアと過ごした知的な時間の数々は、心躍る楽しい思い出のひとつだ。 中でも『美を永遠に留める』という定義について交わしたときのやりとりなどは、今でも一字一句違わず思い出せるほどだよ」 人の美とは魂の美しさであり、限りある今を精一杯生きるからこそ美しいと主張するルメリアに対し、デロシェは魂の美しさを永遠に留めることこそ究極の美だと説いた。 表面上は穏やかな空気を漂わせながらも、ルメリアもデロシェもどこまでも真剣だった。 論じ合う二人の間に、静かに火花が散る。 (長い議論の末、最後に折れたのは……) デロシェは、今となっては彼のみぞ知る結末を思い返して薄く笑った。 続けて、今回のゲーム……取引の条件は何なのかとイリアたちに問う。 「条件は、たったひとつ。 やれやれと首を振り、デロシェは大袈裟に肩を竦めてみせた。 「私は、彼女たちを私の百合にするつもりなど毛頭ない。 ルシアはともかく、サフィールは私の大事な花嫁なのだから」 真実の幸福を得るため、自分とサフィールとでなくした世界を新たに作り直すのだ。 もう二度と、誰にも邪魔はさせない。 情熱的に語るデロシェの言葉は、傍らで聞いていた真乃の耳に胸に甘やかに響いた。 デロシェは、こんなにも自分の前世を愛してくれている。 前世の世界に戻れば、自分は今よりもずっと幸せになれるのかもしれない。 「ヤバイよ。 真乃おねーちゃんをあのままにしといたら、絶対にヤバイって」 子供心にも強い危機感を抱いた九衛伊音(ここのえ・いおん)は、愛犬ルーファスを伴ってこっそり広間を抜け出そうとした。 屋敷の中を探索し、夜ノ人ルージュや前世の扉を開く儀式について、何か手掛かりになりそうな物を得ようというのだ。 「もし儀式のことを書いた魔導書とかあれば、他のみんなが真乃おねーちゃんを助けに来たときにも役に立つかもしれないもんね。 自分よりちょっぴりお姉さんないるかに探索を咎められるのかと伊音は心臓をバクバクさせたが、どうやら違うようだ。 「あたしも、行く」 伊音の手を掴み、ぎゅっと握り締める。 伊音は、いるかの冷たい手が小刻みに震えているのを少しだけ不思議に思った。 伊音が『ソロモンの子鍵』で使役した精霊に辺りを探らせながら進むうち、伊音といるかはデロシェの蔵書を収めた書庫らしき部屋に行き着いた。 「すごいねー、ココ。 前世でボクのお父さんだった人は、ああ見えて結構勉強家だったりするのかな」 天井に届く高さの本棚で四方を埋め尽くされた室内をぐるりと見回し、伊音は子供らしい無邪気な声を上げた。 お父さん。 前世は前世、現世は現世。 最初こそ記憶の残酷さに小さな胸を痛めたりもしたが、自分なりにそう納得してからは、自分は現世の九衛伊音として外道デロシェ・アザールの悪行を止めさせなくてはならないのだと思うようになっていた。 「なんだろ……」 古めかしい樫の机の上に置かれた手帳を見つけ、いるかがおずおずと手を伸ばす。 緊張の面持ちで革張りの表紙を開くと、そこには見慣れぬ異国の文字がびっしりと並んでいた。 「フランス語、かな? それとも……。 なんとなく、古い英語っぽい気もする」 気難しい大人がよくするのを真似て眉間に皺を寄せた伊音が、腕を組んで思案する。 どちらにせよ、伊音にもいるかにもすべてを読んで意味を理解するのは難しそうだ。 どうしたものかと途方に暮れかけて、伊音はハッと気づく。 不思議なことに、最初はまったく読めなかった文字が少しずつ頭の中で日本語に変換され始めたのだ。 「ねぇ、これ……」 どうやら、いるかの身にも同じ現象が起こっているらしい。 二人は、揃って貪るように文字を追い始めた。 手帳はデロシェが数百年前に書き残したいわば日記帳のようなもので、サフィールに対する切々とした想い、権力を手中に収めることへの野望などが書き綴られていた。 望みをすべて手に入れられるのであれば、悪魔に魂を売り渡すことさえ厭わない。 日記には、そんな妄想に取り憑かれたデロシェが夜ノ人についての研究を推し進めていく様も克明に記録されている。 他に、当時交流のあった転生者たちの前世名もいくつか散見出来た。 「モニカ……モニカ・クレイス」 覚えのある綴りを見つけ、いるかがそっと指で撫ぜる。 自分の前世モニカ・クレイスは、中世ヨーロッパの小国ヴァシュラードに存在していた。 そう……真実、前世はあったのだ。 「最近よく見る前世の夢の中で、あたし……モニカは、ヴァシュラードの貴族たちの争いに巻き込まれて死んじゃうの。 夢を見るたび、何度も何度も……」 夢には、いつも決まってデロシェに似た男が現われる。 そのせいか、現世でもデロシェの周りで何かよくないことが起こりそうな気がしてならなかった。 前世が近づいてくる。 前世の悲劇が、ふたたびいるかに襲い掛かろうとしている。 「やだ。 怖い……怖いよ。 あたし、そんなの耐えられない……!」 悪い予感を払拭し、前世を遠ざけるには、ヴァシュラードにゆかりある品をみんな壊してしまう必要がある。 見えない恐怖に怯えるあまり、いるかはすっかり我を失っていた。 「死……」 不吉なその言葉は、幼い伊音にも恐怖を伝染させる。 「ボクもね、寿命より早く死んじゃったんだ。 はは……そうだよ、思い出した。 前世でルーファスは、モニカを庇って死んだんだ」 力なく笑い、伊音はずるずるとその場にへたり込んだ。 今のいるかには、そんな伊音の呟きさえ耳に届いていないのだろう。 ただただ前世を絶ちたい一心で、 『爆発魔法』を発動させて書庫のすべてを破壊しようとした。 いるかを中心に小規模な爆発が起こり、火の手が上がる。 紙や木の焦げるきな臭い匂いがして、室内に煙が充満し始めた。 「あらあら、デロシェ様の大事な書物をこんなにしてしまって……。 貴方がた、少々おイタが過ぎましてよ」 灰色の煙の向こうで、鈴を転がすような少女の声がする。 「本当に、イケナイ子だこと。 デロシェ様を悲しませるような真似をする方には、このメリーがたっぷりとお仕置きをして差し上げますわ」 メリーアンの手の中で、刃が閃く。 脅しのつもりなのか、メリーアンは細剣の切っ先を伊音に突きつけた。 「……っ」 伊音の頬に、嫌な汗が滴り落ちる。 カラカラに渇いて痛む喉から、伊音は必死に声を絞り出した。 「ボク、分からないよ……。 なんで、メリーおねーちゃんはデロシェの味方をするの? あいつはヴァシュラードを滅ぼし、現世の人たちも不幸にしようとしてる悪いヤツなんだよ?」 「デロシェ様が、滅ぼした? ……ヴァシュラードを?」 くすりと鼻先で嗤い、メリーアンはレイピアの柄に力を込める。 デロシェは、何らかの事情があってルージュと強制的に契約を結ばされた。 当然、ヴァシュラード滅亡もデロシェ本人の意思で行われたものではなかった。 一途にデロシェを慕い続けるメリーアンは、愛する主人の無実を頑なに信じていた。 「あの方はヴァシュラード滅亡後も故国を懐かしみ、故国の幻を追い求めて世界中を放浪していらしたのよ。 自ら望んでヴァシュラードを滅ぼすなど、ありえない話だわ」 「……だったらこれ、おねーちゃんも読んでみるといいよ」 伊音が、大事そうに胸に抱え込んでいた革の手帳をメリーアンに差し出す。 それは爆発の後、自分でも気づかぬうちに炎から逃れさせたデロシェの日記だった。 「これは……」 いぶかしげに受け取ってすぐ、手帳がデロシェの物であると分かったらしい。 ページをめくり読み進むうち、メリーアンの表情は次第に険しいものに変わっていった。 「まさか……まさか、こんなことって……」 信じていたものがすべて崩れ去り、足場を失ってふらつく。 「私……俺は、友として……愛しているから……アイツ……あの方を、護りたい……」 僅かに混乱をきたしたメリーアンの中で現世と前世の感情がもつれ、交錯する。 前世をデロシェの親友スリープ・ソードとして生きたメリーアンは、友人だったラインバッハと敵対してまでデロシェを護ろうとした。 結果、暴れるスリープを押さえつけようとした殺女(あやめ)に殺されてしまうのだが、スリープは自分なりに最期まで親友を護り抜いたことに満足し、一片の悔いも残さなかった。 ちなみに殺女の転生者、峰城院刹那(ほうじょういん・せつな)もスリープを倒したところまでは思い出していたが、殺女がスリープの命を奪ったことは知らないようだ。 「信じないわ。 こんなの……絶対に信じない」 具現化した怒りの炎が手帳に燃え移り、一瞬にして灰塵と化す。 真実は、ただひとつ。 それを知るには、何としてもヴァシュラード滅亡の瞬間に立ち会う必要がある。 一刻も早く前世への扉を開き、時を遡らなくてはと、メリーアンはデロシェの元へ駆け戻った。 scene. 5 開く世界 儀式. の準備はほぼ整い、残すは記憶の封印石を100個揃えることと夜ノ人ルージュを呼び出すのみとなった。 デロシェの手に渡った石の数は未だ100に満たなかったが、悠然と構えたデロシェに焦りの表情は見当たらない。 「石たちも、儀式を……遥かヴァシュラードとの再会を待ち侘びているのだろう。 ごらん、あんなにも美しく瞬いて」 祭壇の前に集められた封印石を指さし、うっとりと夢見がちに言う。 デロシェは、瞬くことで封印石は他の石を呼んでいるのだと逢魔ヶ人や百合たちに語り聞かせた。 「石を有する者に少しでも前世への回帰を望む気持ちがあれば、彼らは石に導かれてこの場に足を運ばずにはいられなくなる」 「……ほう。 単に記憶が結晶化したのみならず、そんな便利な力まで秘められていたとはな」 デロシェの声を遮り、広間のドアを派手に蹴破る音とともに峰城院刹那が現われる。 対吸血鬼用に銀の弾を込めた拳銃をデロシェに向け、刹那は火の点いた煙草を挑戦的に投げつけた。 「さしずめ私も、石の導きに逆らえなかった愚か者の一員という訳か」 油断なく銃口をデロシェの心臓の位置に定めたまま、じりとにじり寄る。 銃弾を放つ前に、刹那にはひとつ聞いておかねばならないことがあった。 「先日は、思いがけず途中で邪魔が入ってしまったのでな。 改めて龍庵寺家次期当主、第百一代目殺女として今、この場であんたの口から確たる答えを得たい」 龍庵寺殺女(りゅうあんじ・あやめ)。 初代より受け継がれし真の名を明かすことで、刹那は自らの本気をデロシェに示そうとした。 「殺女……か。 懐かしい名だ」 刹那の背後に、前世の殺女を透かし見たのだろう。 デロシェは、琥珀色の瞳をすっと細めた。 「君はどうしても私を罪人に仕立て上げたいようだが、常闇となった今も、私の百合は皆こうして幸せに暮らしている。 私は彼女たちから血を得る代償として美しく着飾らせ、何不自由のない暮らしを与えてきた」 吸血行為の犠牲となった女性については、あれはすべて彼女たちが常闇化に耐えられなかったために起こった不幸な事故だ。 少々気の毒ではあったが、彼女たちは血となり肉となり、今も自分の中に生きていると淡く笑む。 さらにデロシェは、どうしても家族の元に戻したいのであれば、自由に連れ帰ればよいではないかともうそぶいた。 もちろん、百合たちが自らの意思ではそのような選択は出来ないことを十分に承知の上で。 「まったくもって、呆れるほど身勝手な言い分ですね。 誰が名づけたのかは知りませんが、なるほど外道とはよく言ったものだ」 珍しく辛辣な毒を吐いた明日間稔(あすま・みのる)の顔から、普段の温和な表情が消える。 「前世、ヴァシュラードを訪れた使節団の一人であった私……神楽重和(かぐら・しげかず)は、吸血鬼殲滅の密名を帯びていました。 ヴァシュラードには、凶悪な吸血鬼が巣食っていると聞き及んでいたからです」 この吸血鬼とは、恐らく夜ノ人ルージュを指しているのだろう。 デロシェがルージュと契約して人間であることを捨てたのは、殺害した王族を儀式の贄に捧げた後のことである。 少なくとも、重和が国王と謁見した時点でヴァシュラードに巣食う吸血鬼がデロシェだった可能性は、ほとんどゼロに等しい。 (では、あの記憶は……あれは、何だというのだ?) 最近思い出した前世の記憶によって、重和ら使節団は国王との謁見中にヴァシュラード側と険悪な雰囲気に陥り、ついにはその場で 刃を交えるほどの騒動になったことを知った。 (あのとき、ヴァシュラード王が国ぐるみで吸血鬼の存在を否定しようとしていたような気がするのは、単に私の思い違いか。 それとも……) 考えれば考えるほど、記憶の輪郭がぼやけてあやふやなものになってゆく。 ともあれ、まずは何よりも儀式の阻止が最優先だと、迷いを断ち切るように稔は『スサノオ』を召喚して弓に矢をつがえた。 「たとえどんな理由があるにせよ、封じられた過去への道を呼び醒ましてはならないのです。 過去よりの憎悪は現世を蝕み、更なる悲劇を招くだけなのですから」 右腕に全身の力を込め、限界まで弦を引き絞る。 稔の放つ退魔の矢は真っ直ぐデロシェの眉間を射抜くかと思われたが、的に達する手前でいきなり稔たちの視界から掻き消えた。 「……!? 」 一瞬、何が起こったのか分からずに目を瞬かせる。 ややあって稔は、矢が横から振り払われた刃に薙がれ、あらぬ方向に弾かれたのだと理解した。 「ごめんなさいね。 私としても不本意としか言いようがないんだけど、今はまだこの人に死んでもらっちゃ困るのよ」 抜き身の鬼頭刀を提げたまま、デロシェの前で立ち尽くした格好の要彩花(やお・つぁいほあ)が、稔に複雑な笑みを投げかける。 「前世の扉が開いてしまったら、みんな思い出した記憶に呑まれてしまうかもしれない。 でも……それでも私には、前世のカンナに戻ってそこにあるはずの真実を確かめる義務があるの」 夫の漆離靜(しつり・せい)にすら打ち明けることが出来ず、自らの意思でデロシェと契約を交わし、彼に血を与え続けたカンナ。 実は靜もカンナの秘密には薄々気づいていたのだが、愛しい妻を思いやり、ずっと見て見ぬフリを続けていたらしい。 それはともかく、外道に身を堕とす以前、デロシェは血液の摂取を必要としていなかったはずだ。 だのになぜ、カンナの血を……? 稔と同様、曖昧な記憶が矛盾を生む原因となっている可能性は大いにありうる。 彩花は時系列順に正しく前世をたどることで矛盾を消し去り、何もかもすべてをはっきりさせてしまいたかった。 他にもひとつ、彩花には気になる記憶があった。 果たして、それが何だったのかまでは思い出せない。 (ただね、漠然とではあるけど感じるの。 この人……デロシェと、何かしら関係のあるものに違いないって) 背中にデロシェの微かな息づかいを感じながら、胸の中で独りごちる。 (私の勘が正しければ、記憶の謎を解くことはデロシェの弱点を知ることにも繋がる。 デロシェの弱点を突き、彼の最期に立ち会えるのなら、私はどうなったって構わない……たとえ死んでしまっても、少しも悔いはないわ) 命懸けの決意を秘めているからこそ、自分はこうしてデロシェを護るための偽りの剣を振るうことが出来るのだ。 「何人たりとも、私の邪魔はさせない」 鬼頭刀を構え直し、彩花は他の逢魔ヶ人たちを威嚇した。 と、そこへ、深森九献がいつもの千鳥足でふらりとまろび出た。 「あたしたち、前世で仲良く秘密を共有した仲じゃないの。 そんなコワイ顔してないで、こないだみたいに一緒に面白おかしく呑もうよぉ〜」 レオノラから実の姉、エティエンヌからユーグへと向けられていた、禁断の恋慕という名の秘めごと。 道ならぬ恋に悩むレオノラとは違い、現世の九献は至ってお気楽モード。 前回、静流たちと酒盛りしたときと同じ調子で酒瓶を振ってみせたが、静流は頑なな表情のまま無言でそれを突っぱねた。 「静流さんは、イヤだって言ってるの。 無理強いはしないで」 静流の腕を掴み、九献をきつく睨みつけた少女を見て、刹那がアッと声を上げる。 「花梨!? あんた……冗談じゃない。 あんたまで、そちら側の人間になってどうする!」 前世への回帰を強く望む二ノ宮花梨までもが、デロシェに味方しようとしている。 花梨に頼まれて用心棒を務めたことのある刹那は、軽い眩暈を起こさずにはいられなかった。 「こんなの、間違ってる。 こういうときこそ、もっとよく考えて冷静になるべきだろ。 ……くそっ。 お前ら、なんでそんなにまでして前世の自分に戻りたいんだよ!? 」 仲間を敵に回してまでも前世の扉を開くことに固執する彩花や花梨を見た相原幹(さがら・みき)も、嫌悪を顕わにする。 だがその一方で幹は、前世への興味や好奇心を押さえられずにいるもう一人の自分の存在にも気づいていた。 「ダメだ……。 このままじゃ、俺まで変になっちまう」 片手で髪を掻き毟り、もう一方の手をパーカーのポケットに突っ込む。 指先を探らせ、幹は大事にしまい込んであった封印石をひとつ掴み出した。 内側から淡い銀の光を放つその石には、『幹の前世イグドラシルは、友人だったデロシェからサフィールを遠ざけさせるため、デロシェに関する悪い噂をサフィールに吹き込んだ』という記憶が封じられている。 デロシェとサフィール……どちらのためを思っての行動かは分からないが、いずれにせよ、幹にとってはあまり気持ちのよい記憶とはいえなかった。 「こんな石……こんな下らない石があるから、みんなおかしくなっちまうんだ」 前世の記憶を封じた石さえなくなれば、幹も他の転生者たちも何もかもすべて忘れ、前世を知らなかった頃の自分に戻れるに違いない。 幹は、力の限り銀色の封印石を叩きつけた。 乾いた音をたて、跳ね返った石が床の表面を滑る。 「くそっ、くそぉっ……」 ひびひとつ入ることなく、無傷のまま床を転がる石を拾い上げては、幹は何度も何度も執念深く打ちつけた。 それは幹の腕が痺れて感覚がなくなるまで続けられたが、どれだけ繰り返しても封印石が砕け散ることはなかった。 ならば自分もと拳銃で自らの石を撃ち抜いた刹那も、敢えなく失敗。 石は、難なく銃弾を弾き返してしまった。 目を閉じ、術の詠唱を始めた闇だが、数秒も経たないうちに耳障りな女の嘲笑に集中を妨げられてしまう。 「何奴? 貴様……何者だ?」 声のした方を振り返ろうとして、闇は全身が金縛りに遭ったときのようにまったく動けなくなってしまっているのに気づく。 ほぼ完全に手足の自由を奪われ、無防備な姿を晒しているのは闇だけではなかった。 幹も刹那も、その場にいる者ほぼ全員が、身動きひとつ取れずに苦しんでいる。 今この場で自由に動けるのは、どうやらデロシェとルシア、真乃の三人だけらしい。 「なっ、なんだよ。 これ……」 両足が床に張り付き、前にも後にも進めなくなった橙條蓮也(とうじょう・れんや)が素っ頓狂な声を上げる。 『神風を纏し者』という二つ名にふさわしく、混乱に乗じて祭壇の封印石をひとつ残らず奪い去ろうとした蓮也も、見えない戒めに捕われた哀れな犠牲者の一人だった。 「バカな……マジ? こんなのってアリかよ。 なぁおい、このインチキ占い野郎。 ……あーもう、ふざけんなっ!」 さもおかしそうにニヤリとこちらを一瞥したデロシェに、思いつく限りの罵詈雑言を投げつける。 怒鳴り疲れてゼイゼイ肩で息を繰り返していると、ふと目端に九献の姿が映った。 「レオノラ……さ、ま……」 蓮也は、前世名をアレスト・グラードという。 私怨……はたまた、何かの気まぐれか。 前世でレオノラの一家に仕える執事だったアレストは、主の娘レオノラに毒殺されてしまったらしい。 だがそれとは別に、蓮也には自分は異能の力を恐れられて処刑されたという記憶があった。 (そうか……。 つまりは、こういうことだ) ぼんやりと霞みかけた蓮也の脳裏に、前世の記憶が映像となって甦ってくる。 (アレストは、致死量の毒を盛られても死ななかった……いや、死ねなかったんだ。 それを怪しんだ者たちによって処刑台送りにされ、哀れギロチン台の露と消えたって寸法か) つまり、直接アレストの命を奪ったのはレオノラではなかった。 それで、まったくといっていいほど現世の自分もレオノラ……九献を恨む気になれないのだと、蓮也は納得した。 声は、儀式の準備中に闇が見ていたルージュの肖像画の中から聞こえてくるようだ。 「お久しぶりね、デロシェ。 こうしてまた、アタシを必要としてくれてうれしいわ」 肖像画そのままの姿で抜け出してきた女は、女王然とした態度でデロシェや逢魔ヶ人たちの前に君臨した。 「私もだよ、ルージュ。 貴方が、私の招きに応じてくれたことに心から感謝する」 ルージュ。 間違いなく、デロシェは女をそう呼んだ。 「……で、アタシは何をすればいいのかしら?」 「ああ、それなんだがね。 ……おいで、ルシア」 優しく手招くデロシェに導かれ、ルシアが祭壇の前へと進み出る。 善良そうな穏やかな笑みを湛えたまま、デロシェはおもむろにルシアの心臓に爪を立てた。 「違……う……。 これ、では……やく……約束……が……」 自分に、真実を教えてくれるという約束は嘘だったのか。 苦しげに呻いたルシアの唇から、緋色の雫が滴り落ちる。 「約束? 何なの、それって」 「……さぁ?」 さほど興味なさげに尋ねてきたルージュと顔を見合わせ、デロシェは首を竦めた。 指に絡みついたルシアの血を、舌先でちろりと舐め上げる。 ヴァシュラードで最も権威ある教会の大司教の子孫であるルシアは、サフィールら王家の人間に次ぐ尊い血の持ち主であった。 シルビアと出会い偶然それを知ったデロシェは、シルビアにも事実を知らせず、いつの日か前世の扉を開くときのための贄とすべくシルビアを飼い殺していたのだ。 シルビアがゲオルグ・ヒルデブルグに殺されたのは誤算だったが、同じ血を引くルシアを手に入れることが出来たのもまた嬉しい誤算であった。 「あらあら。 「……っ!! 」 あまりに生々しく残酷な光景に耐えかねた真乃が、堪らず顔を伏せる。 気分悪そうに座り込んだ真乃に向け、王琥珀(わん・ほぅぽぉ)は何度も必死に呼び掛けた。 「真乃。 ねぇ、真乃ったらー……お願いだから、あたしの声に気づいてよぉ」 真乃さえ気づいて琥珀の傍に来てくれれば、筋斗雲を呼び出して一緒に逃げることが出来るかもしれない。 「仕方ないわね。 こうなったら、奥の手を使うしかないか」 真乃に正気を取り戻させるべく、『長囀』の術を使って屋敷中のネズミを呼び寄せる。 一斉に押し寄せてきたネズミの大群に真乃は驚き、悲鳴を上げた。 「真乃、分かる? あたし、琥珀よ」 「琥珀……さん?」 初めてその存在に気づいたように、真乃は驚愕の表情で琥珀を見返した。 「いい? よく聞いて。 あたし、真乃をどうしてもここから助け出したいの。 気持ちは分からなくもないけど、真乃は真乃、前世のサフィール姫とは違うのよ」 今、自分の目の前で不安そうにしているのは、他でもない『小日向真乃』その人だ。 デロシェの忠実な下僕たる彼女らは、すすんでルージュにその身を差し出した。 「いけない……あなたたちは、こんなことで死ぬべきではならないのです!」 デロシェとルージュの契約を破棄させ、二人の関係を断ち切りさえすれば、常闇人たちを外道の支配から救い出せるかもしれない。 そのために敢えて封印石を差し出し、前世の世界へ行って契約の場面に立ち会おうと考えていた宗山島人(むねやま・しまと)が、悲痛に叫ぶ。 現世でも前世でも医術に関わる仕事をしていた島人は、誰よりも人の生き死にに敏感だった。 「待っ……」 動かない手足を気力だけで動かし、なんとかして百合たちを押し止めようとする。 だが肩先を軽く押されただけで呆気なくバランスを崩し、転倒してしまった。 「……バカな人。 外道と夜ノ人が交わす血の契約は、外道の命が尽きる瞬間までずっと続くのよ。 何をどうやったって、誰にも契約の解除なんか出来ないんだから」 床に這いつくばった島人を冷たく見下ろし、ルージュが嘲う。 「口に出してもいないのに、あなたはどうして私がそう考えていると……」 知っているのかを問おうとして、島人は激しく咳き込んだ。 転倒したはずみで、肋骨を少し痛めたらしい。 「あらあら、お気の毒さま。 フフフ……。 アタシはね、逢魔ヶ人のアナタが考えてることくらい、手に取るように簡単に分かっちゃうのよ」 そう……ルージュは、一瞬にして島人の心をすべて読み取っていたのだ。 「あの、ルージュさま?」 おずおずとルージュに近づいた静流が、自らも贄になることを申し出る。 だが、デロシェがそれを許さなかった。 彼女もまた転生者の一人であるのを理由に、デロシェは静流に思いとどまるよう命じた。 そのときだった。 祭壇に捧げられた封印石が、これまで以上に激しく明滅を始める。 ぐわんと人の心を揺さぶる共鳴音は、封印石を差し出すことを拒否したはずの者の石までをも強引に呼び寄せた。 「なっ……」 傍観者を決め込み、遠巻きに儀式を眺めていたディアナ・レットムーンの手の中に、唐突に封印石が出現する。 「これは……。 間違いない。 前世でユエが王族や領主の子息の家庭教師も務めていたという記憶を思い出したときに現われた、記憶の封印石ではありませんか」 元来、人にものを教示するのを得意としていたユエ・ファウストは、王家のみならず地方の領主たちにも乞われ、それぞれの領地を定期的に回って子息たちを指導する家庭教師のような仕事をしていたらしい。 「それにしても、妙なこともあったものです」 はなからまったく儀式に協力するつもりのないディアナは、念のため、すべての封印石を自宅に置いてきた……はずだった。 「それなのに、なぜ……?」 さすがのディアナも、今回ばかりは少々面食らってしまったらしい。 ディアナの手を勝手に離れ、祭壇の方へと飛び去って行く萌黄色の石を、ただ呆然と見送ることしか出来なかった。 全身に乙女の血を浴び、封印石のすべてをその身に取り込んだルージュが、前世へと繋がる扉を呼び出した。 巨大な鏡の中に浮かぶ、白い観音開きの門扉。 扉が開いた瞬間、転生者たちの意識は途切れ、抗う間もなく彼らは現世の肉体を捨てて前世の世界……デロシェが望む理想の精神世界へと旅立ったのだった。 重い瞼を薄く開けると、ぼやけた視界の中に見覚えのある男の顔が浮かんで見えた。 「……うぅん。 ろう……ら……ん?」 男の背後に広がる夕暮れの空の色で、拓生は自分が気を失って倒れていたのを知る。 男はデロシェの常闇人の一人、朧藍に違いなかった。 「なぜかって聞かれたって、そんなこと……うぐっ……」 右肩を押さえ、痛みに顔をしかめる。 熱を伴って鈍く疼く肩の傷は、黒木摩那との間で交わされたやりとりが、決して夢などではなかったことを拓生に教えた。 朧藍は、その摩那に言われて拓生の様子を見に来たのだという。 「なぁ……あんた、常闇人が外道の支配から逃れる方法っての知ってるか?」 あんなにも答えを欲していたはずなのに、すっかり興味を失って色褪せてしまった問いかけ。 「……いや、見たことも聞いたこともない」 朧藍が何の迷いもなく即答したのを聞いて、拓生は堪らず吹き出した。 「あいつ……黒木の言ってた通りだな。 俺はバカだ。 とんだ、大バカ野郎だ」 呆れ果てて、涙も出ない。 拓生の乾いた笑い声が、夕空に虚しくこだまする。 それから間もなく、二人の姿も前世の世界に消えた。 scene. 6 希望 凄惨な血の宴が終わり、命ある者の気配がすべて途絶えた大広間。 《ルシア……》 光球から発せられた女性の声が、優しくルシアに呼びかける。 《貴方にまで、辛い目に遭わせてしまってごめんなさいね。 まさか、あの男が貴方を利用してこんなことまで考えていたなんて……》 許せない。 怒りに身を震わせた光の珠が、音もなく弾け飛ぶ。 四方に広がった金色の光は、キラキラひかる欠片となってルシアの上に降り注いだ。 血を流し切って乾いた胸の傷が、少しずつ塞がり始める。 弱々くも、正確に鼓動を繰り返す心臓の音。 《何があっても、貴方を死なせたりはしない。 安心なさい。 もうしばらくの間、ここで眠ってるといいわ》 そう……あの人たちが、前世で決着を付けて戻って来るまでは。 前世と現世を繋ぐ扉が閉じる瞬間、転生者たちはそんな呟きを聞いたような気がした。 現世の記憶が徐々に薄れ、性格や考え方までもが変わり始めているようだ。 彼らが前世に戻ったのが、丁度デロシェとサフィールの婚約披露の宴が催される日の前日だったのは単なる偶然か。 転生者たちの中に、断片的な記憶の欠片が流れ込んでくる。 ロランとサフィールの恋を応援し、二人のために奔走するラインバッハやアイル。 銀のナイフを手に、思い詰めた表情のロラン。 華やかな宴。 人々のさざめき。 無残に弄り殺され、累々と横たわる死体の山。 恍惚としたルージュの唇が、毒々しい血の色に染まる。 強引にデロシェに口づけを迫られ、必死に抵抗するサフィール。 これで彼女は……サフィールは、永遠に私のものにならなくなってしまったではないか!! 獣じみた咆哮。 デロシェは、血の涙を流す。 儀式の完了。 外道となったデロシェは己の力を誇示するかのようにロランの咽喉を掴み、ゆるゆると締め上げた。 どうだね? 最も忌むべき男の下僕にされるご気分は。 覚悟を決め、静かに目を閉じるロラン。 デロシェの鋭い牙が、白い首筋に突き立てられる。 悲劇の歴史は繰り返すのか……。 ヴァシュラードに降り立った者たちの行動が今、試されようとしていた。 逢魔ヶ人。 ホワイトチャペル学院高等部1年。 チョコレート好きのどこにでもいるごくごく普通の女子高生。 前世はヴァシュラード王国の王女、サフィール/女性。 ・柏木拓生(かしわぎ・たくみ)……17歳/男性。 逢魔ヶ人。 ホワイトチャペル学院高等部2年。 真乃の母親の弟で、真乃にとっては1歳しか年の違わない叔父。 前世はヴァシュラード王国の王太子でサフィールの実兄、ユーグ/男性。 ・湊 静流(みなと・しずる)……17歳/女性。 日ノ人から常闇人へ。 ホワイトチャペル学院高等部2年。 拓生のクラスメイト。 一方的に拓生を恋人扱いしている。 前世はユーグとは親友関係にあった青年貴族、エティエンヌ・レネ/男性。 逢魔ヶ人。 画廊『ニーベルンゲンズ・リング』のオーナー。 店は黒魔術系統の逢魔ヶ人たちの寄り合い所も兼ねており、響は彼らのまとめ役でもある。 前世はヴァシュラード王の側室の一人、真白(ましろ)/女性。 逢魔ヶ人。 白魔術系統の寄り合い所『クローバー・ティールーム』の女主人。 ホワイトチャペル学院の創始者、シルビア・タイターニアの孫娘でもある。 常闇人。 ホワイトチャペル学院の創始者。 49年前に偶然デロシェと出会い、容姿がサフィールに似ているという理由だけで彼の常闇人にされてしまった。 占いサロン『ファム・ファタール』を主宰するフランス人占い師というのは、偽りの姿。 その実体は夜ノ人との契約で永遠ともいえる命を得た外道、デロシェ・アザール。 ・朧藍(ろうらん)……20代半ば/男性。 デロシェに仕える常闇人。 記憶と感情のほとんどをデロシェに奪われてしまっている。 元の身分は宮廷画家。 本名はロラン・カスタニエ。 真乃の前世、サフィールとは身分の差に悩む秘密の恋人同士だった。 個人的な事情をここに書いても言い訳になってしまうだけなので止めておきますが、あれこれ言い訳を並べるよりも行動で示せるよう、残り2回、さらなる努力を重ねてがんばります。 シナリオも終盤、いよいよ前世の世界に突入です。 次回は基本的に前世PCとして行動していただくことになるのですが、現世PCの記憶や意識も完全に失われている訳ではないため、前世と現世が入り雑じってなんとも複雑な状況。 ただしこれまでに思い出した前世の記憶の数が多いキャラクターほど前世のキャラクターが強く現われ、現世PCとしての記憶や考え方、性格などが弱くなっています。 そのため、次回のリアクション中でアクションにない突発的な行動を起こすなんてこともあるかもしれません。 前世アクションについては、次回はアクションの内容に関係なく、全員2つまで自由にかけられます。 前世キャラの外見や性格設定などもアクションと一緒に送って下されば参考にさせていただきますが、必ずしも描写されるという保証はありませんので、その点どうかご了承下さいませ。 昏闇さんと不忌冥さん。 お二人とも、夜ノ人という立場を利用して何か事件を起こそうという意思はないとのこと。 了解しました。 今後は、『夜ノ人としての知識は多少持ち合わせてはいるものの、何らかの原因で夜ノ人の能力はすべて失ってしまっている逢魔ヶ人』として扱わせていただきます。 能力を失ってしまっている以上、当然ルージュのように人間と契約して外道をつくり出すことは不可能です。 では、また。 このシナリオの今後のスケジュールは以下のようになります。 ・第5回(7月期) アクション締切日 7月10日(月) リアクション公開予定日 7月31日(月) ・第6回(8月期) アクション締切日 8月7日(月) リアクション公開(目安) 〜 8月28日(月) ご参加いただいた皆様には、大変ご迷惑をおかけしまして、まことに申し訳ございません。 今後も、なにとぞよろしくお願い申し上げます。 odn.

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ハリー・ポッターと古王の帰還

うる は ルシア 前世

潤羽るしあとは? Vtuber潤羽るしあはカバー株式会社が運営するVtuber事務所の3期生メンバーとしてデビューしています。 ホロライブ3期生は他に白銀ノエル、宝鐘マリン、不知火フレア、兎田ぺこらの合わせて5人となっています。 3期生は「ホロライブファンタジー」というテーマがあり、姿かたちが騎士だったり海賊だったりしているのが特徴でもあります。 ひとりが嫌いなので死霊や屍とおしゃべりしているらしい。 キャラクターデザインを担当した人は誰? それでは潤羽るしあのキャラクターデザインを担当した人を紹介します。 やすゆきさんという方です。 令和のレ — やすゆき@CF中 yasu00kamiki このキャラクターはRe:ゼロから始める異世界生活という作品のレムというキャラクターです。 とても綺麗な絵を描く方ですね! 潤羽るしあの声優は誰? では気になる中の人(魂)について。 あくまでTwitter等でファンの方からのツイートなどで調べたものであり、推測となります、ご了承ください。 有力とされているのが みけねこさんという方です。 ホロライブのオーディションの条件として イラスト、歌、ゲームなどの配信実績がある方が条件にもなっていますがみけねこさんは当てはまっているので可能性としてはあり得るのかなと思います。 最後に 先ほども書きましたが、中の人に関しては推測となっています。 あくまで参考程度に考えてもらえれば幸いです それでは今回はこのあたりで。

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